母子分離不安は誰にでもある自然な発達段階の一つです。
「幼稚園受験本番で子どもが泣いてしまったら不合格?」
「母親と離れても泣かないための対策はある?」
幼稚園受験を考えている保護者の方の中には、こんな不安を感じていませんか。
幼稚園受験本番では、親と子が離れて面接を受ける場面があります。
しかし「親と離れ、しらない人と別室に行く」ような状況は、親が思っている以上に子どもを不安な気持ちにさせます。
中には泣いてしまう子も少なくありません。
もし泣いてしまった場合には不合格になるのでしょうか。
そんな不安を感じている保護者のみなさまに向けて、幼稚園受験の場で親と離れた時に子どもが泣いてしまう理由とその対策について解説します。
Contents
幼稚園受験で見られる母子分離不安とは?
幼稚園受験で合否に大きく関わってくるのが母子分離不安です。
まず母子分離不安を理解するために、一般的な子どもの精神発達について紹介します。
母子分離不安とは?
「母子分離不安」とは、子どもが母親と離れることに不安を感じる状態を指します。
誕生してしばらくは常に母親に抱っこされているので、それほど強く母子分離不安は現れません。
母子分離不安が表れるのは、ハイハイや伝い歩きが始まる生後8ヶ月ごろからです。
そして次のようなパターンを繰り返していきます。
- 好奇心で行動する
- 母親が遠くなる
- 不安になる
- 母親の近くへ戻る
- 安心する
このようなパターンを繰り返しながら、母子分離が完成していきます。
母親と離れると泣いたり、しがみついたりするのは、生まれながらに持ち合わせている自己防衛本能であり、自然な現象です。
多くの場合、2〜3歳ごろまでには解消されると言われています。
しかし個人差が大きく、何歳で終わるとははっきり言えません。
幼稚園受験における母子分離不安のパターン
幼稚園の受験本番では、親と子が別室に分かれて面接や観察される場面があります。
そんな時に起こりがちなのが次のような状態です。
- 親を探して泣く
- 不安な顔をする
- 固まって動かない
- 親から離れられない
まだ母子分離が完成してない状態であれば自然な行動です。
しかし、幼稚園受験の場でこういった状況になれば、合否に不利になると言わざるを得ません。
母子分離ができないと幼稚園受験で不合格になる?
実際の幼稚園受験を経験された方の体験から拾ってみると、残念ながら母子分離できてないと不合格になるケースが多いようです。
ちなみに、幼稚園受験では次のような点が見られています。
- ひとりで活動できるか
- 集団生活ができるか
不合格になった例としては次のようなケースがあります。
「課題がこなせず、途中で『ママ…』と母親の方を不安そうに見てつぶやき、何もできなくなってしまった」
「途中まで母親のそばから離れられず考査に参加できなかった。」
「試験官の先生から何度か呼びかけられて後半から参加できた。」
また親となかなか離れられず、のびのびと行動できなかったお子さんは、不合格になったケースが多いようです。
面接で泣いた場合も不合格?
ある国立幼稚園を受験した方の体験談には、お子さんが面接で泣いたために不合格になったと記されていました。
その方が願書とともに受け取ったプリントには、「泣き止まずに受け答えできない時は、再面接になる可能性があります。」と注意書きが添えてありました。
実際、面接の場でお子さんが泣いてしまい「今回はちょっと難しいようなので再面接しましょう」と言われたそうです。
親と離れても受け答えができ、集団生活ができるかを見られる面接の場では、不合格になる確率は高いと言わざるを得ないでしょう。
母子分離不安は発達途中の通常現象
母子分離不安が強いと合格のための能力が不足しているかと言えば、そうではありません。
母子分離不安は発達段階における自然な現象です。
子どもは、不安と安心を繰り返しながら、少しずつ母子分離できるようになります。
一般的に、2〜3歳ごろまでに完成すると言われていますが、個人差の大きい部分です。
とくに早生まれの子は、受験時にまだ2歳なのに臨む必要があります。
また、男の子の場合も女の子に比べて精神的な発達がゆっくりだと言われており、母子分離の完成が少し遅れたとしても仕方ないことなのです。
しかし、幼稚園受験はそういった個人の発達の差を配慮せずに、一斉に面接や考査を受けなくてはいけません。
母子分離の練習方法
母子分離不安は誰にでもある自然な発達段階の一つですが、練習によって不安を和らげられます。
親子ともに安心して幼稚園受験に臨めるよう、普段から練習しておくといいでしょう。
具体的な練習方法やポイントをいくつかご紹介します。
ポイント1.優しく声をかける
離れていても母親の声が聞こえると不安が和らぎます。
声のかけ方も、優しく安心させるよう心がけましょう。
少し離れたのち、戻ってきた際に「待っててくれてありがとう」「ひとりでも大丈夫だったなんてカッコいいね!」など前向きな言葉をかけます。
ポイント2.親がどこにいるか説明する
家の中であっても、子どものそばを離れる時には「トイレに行ってくるね」「洗濯物を干してくるね」など説明します。
最初のうちは、できるだけ早く戻るよう意識しましょう。
子どもが慣れないうちは、いちいち後ろからついて来きたり、少し離れただけで不安になったりするかもしれません。
しかし慣れてくれば「ママは戻ってくる」と安心感が生まれ、ひとりで待てるようになります。
ポイント3.集中できるものを見つける
集中して楽しめるものがあれば、母親の不在を気にせず過ごせる時間が増えていきます。
集中している間にいつの間にか母親が戻ってくるような状態が続けば、自然に母子分離が進むでしょう。
ポイント4.泣いても怒らない
早く自立して欲しいと感じていると、子どもがいつまでも不安で泣いている状態にイライラするかもしれません。
しかし母子分離不安は、発達段階の自然な現象です。
子どもが不安で泣いたとしても、「ママはここにいるよ」と優しく抱きしめて安心させましょう。
その都度、抱きしめるのを習慣にすると、安心感を得られ自然に自立へと向かいます。
早生まれの子どもの母子分離対策
早生まれの場合は、2歳で幼稚園受験に臨む必要があります。
まだ母子分離不安が完了していないお子さんも多いかもしれません。
しかし、慣れや訓練によって母子分離の対策はできます。
ここでは、前述の母子分離不安の練習に加え、早生まれの子どもの母子分離対策をご紹介します。
対策1.たくさんの人と触れ合う機会を作る
たくさんの人と触れ合いを持ち、人と接する楽しさを感じましょう。
とくに同じ年齢の子どもと楽しく触れ合えば、お受験本番での緊張も軽減されます。
対策2.習い事などで離れる練習をする
たくさんの人と触れ合う場を作る方法の一つが習い事です。
同年代の子どもとのグループレッスンなどは良い練習となります。
先生との触れ合いも、幼稚園の予行演習として最適です。
対策3.祖父母に預ける
30分~1時間程度の短い時間から始め、両親以外の大人と過ごせるよう慣らしていきましょう。
それには祖父母が一番安心です。
親以外と楽しい時間を過ごす経験が受験当日にも役立ちます。
対策4.一時保育に預ける
近くに祖父母がいない場合は、一時保育を利用する方法もあります。
短い時間から慣れていき、同年代の子どもと楽しく遊ぶうちに、面接や考査でも不安にならず過ごせるでしょう。
対策5.抱きしめて安心させる
母子分離不安は繰り返し安心感を得て解消していきます。
祖父母に預ける前や一時保育で離れる前には「なにがあったか教えてね」と優しく話しかけ、終了後も「楽しかったね」などポジティブな言葉をかけるようにしましょう。
さらに子どもが安心できるよう積極的にスキンシップをとります。
例えば次のような行動が効果的です。
- 抱きしめる
- 添い寝する
- 抱っこする
- おんぶする
- 好きだよと伝える
以上のように繰り返しスキンシップをとり、安心感を与えましょう。
その他の面接対策
不安と安心を繰り返しながら母子分離不安は徐々になくなっていきます。
最後に、幼稚園受験本番を見据えて取り組める具体的な面接対策をご紹介します。
プレや見学で幼稚園に慣れておく
受験本番の日に初めて幼稚園に訪れるよりも、それまでに何度か訪問しておけば、当日子どもが感じる緊張の度合いが全く違うでしょう。
プレ見学や体験会などを利用して、幼稚園の場に慣れておきましょう。
挨拶の練習や面接ごっこで慣れておく
最後の仕上げとして、挨拶や面接の練習です。
ごっご遊びで楽しく取り組み、慣れておきましょう。
遊びとして取り組んでおけば本番の面接も楽しめるはずです。
練習や訓練で母子分離不安は克服できる
いかがだったでしょうか。
幼稚園受験では、母子分離不安から子どもが泣いてしまった場合、残念ながら不合格になる確率が高くなります。
発達段階の自然な現象なので仕方がない反面、普段の触れ合いの中で多くの対策ができます。ご紹介した例を参考に取り組んでみましょう。
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